海獣の子供 - ただただ好きなセリフまとめ
http://www.kusakanmuri.com/tsushin/interview/05_igarashi_daisuke.html
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言葉で話すと
言葉にならないことはないことになってしまう。
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人より人じゃないものが多い世界。
世界をその通りの割合に見てるだけなのに。
どうしてみんなは人ばっかりみるんだろう。
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口が聞けない海くんの「コトバ」を聞こうと、
耳や目や心を澄ませていると。
自分だけがちょっとだけズレて、
いつもとは違う世界にいるみたいな気持ちになった。
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顕微鏡が出来る前、世界はもっと小さかった。
今、見えているものが……
世界の全てとは限らないだろう?
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水はたくさんに割れてるんだ、
冷たさや濃さや動く向きの違う塊がある。
塊に乗って滑るんだよ。
お前は力もヒレもないんだから。
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この世界にあるもののうち、
僕ら人間に見えているものなんて
ほんの僅かしかないんだ。
宇宙の総質量の90%以上は
正体不明の暗黒物質が占めていることになる。
僕達は何も見てないのと同じだ。
この世界は見えないもので満たされていて、
宇宙は僕たちに見えているより
ずっとずっと広いんだ。
俺は宇宙は人間に似てると思う。
人間の中には、
たくさんの記憶の小さな断片が
バラバラに漂っていて、
何かのきっかけでいくつかの記憶が結びつく……
その、ちょっと大きくなった記憶に、
更にいろいろな記憶が吸い寄せられて、
結びついて大きくなっていく……
それが考える、とか思う、ということでしょう?
それはまるで、
星の誕生、銀河の誕生する姿とそっくり。
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太陽による光合成に100%依存している生態系、
それがいまのわたしたち。
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昔の人は、
蜃気楼は蛤の吐き出す夢だと
考えていたそうだ。
もしかしたら、僕らのすむこの世界は、
深海を埋め尽くす無数の貝が吐き出す
夢なのかもしれない……
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きっと鯨は考えてるんだと思う。
天敵もなく殺し合いもしない彼らはきっと
人間とは違う発想をするはずだよ。
そして人類よりずっと古い歴史を持っている。
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人間には理解できない
そこにある事に気づくことするできない
秩序や価値や知があるかもしれないんだから。
どのような道を経て
今に至ってるかは違っても。
今
わたしたちのまわりにある全ての存在は
世界が生まれたときから
きっかり同じだけの時間を経てここにある。
みんな対等だと思うけどね。
自分だけが頂上にいるの思うのはマチガイだ。
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わたしたちの言った事、した事は、
風が水に皺を刻むように
この世界に痕跡を残す。
それは形を変えながら拡がっていく。
鯨の歌の一節に形を変え……
素粒子の振動の内に受け継がれる。
世界のどこかに永久に記憶された、
わたしたちのした 事 その痕跡を……
ふとした瞬間にわたしたちは出会うのだ。
過去や未来の、 誰か の記憶に……
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記憶は伝わって伝わってわたしに届いて……
わたしの気持ちものせて。
また……伝わっていく……
この水は、
どれだけの記憶を蓄えているんだろう。
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海底は無数の死体が降り積もってできた
泥で覆われている。
それは……時間や記憶そのものだ。
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人間の胎児を立体超音波映像で見ると
よく笑っているそうです。
産まれる前に笑顔の練習をしてるんです。
赤ん坊の笑顔は
親の気を引くための戦略だという説に
僕は賛成です。
面倒を見させるための……
笑顔はそのための罠なんだ。
本能はしたたかなんですよ。
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698.45ヘルツ
あれは……星が死ぬ時の音なんだよ。
老いた星が自分の重さに耐えられなくなって
つぶれるときにするはずの音……
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イルカも波も雲も
私の目に見えるほとんどは人間じゃない。
世界の大部分は
人間じゃないもので出来ているでしょう?
だからわたしは
人間じゃないものの方を多く見る。
でもどうやらそれはダメらしい……
世界を割合のとおりに見えるだけなのに
どうやらほかの人たちは違うらしい。
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時間や手間をかけるのにはそれだけの意味がある。
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宇宙が誕生して、星が生まれ
成長して死んでいく
その過程で作られた物質から
この世のすべてのものができている。
たったひとつのものの部分に
すぎないのかもしれないな、
太陽も海も人間も……
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波打ち際は生と死を分かつ際だ。
死者と生者が入れ替わる境界線なんだ。
この砂だってサンゴや貝が砕かれた死体だ。
海に棲むものにとって
波打ち際のむこうは死者の世界。
彼らにとってそこに棲むものはすべて
死の国の住人だ。
そして君たちもまた
波打ち際のむこうでは生きられない。
ここを境にして生と死は入れ替わる。
海に棲むものにとっての死は、
君たちにとっての生。
君たちにとっての死は、
海に住むものにとっての生。
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ナンキョクオキアミ
このちっぽけな生物はこの星にとって
人間なんかよりずっと重要な存在なんだ。
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そこら中あちこちに潜んでいるうたを、
鯨が傍受して形を与える。
それを海がマネする。
そうやってあのうたがいつか世界を満たす……
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死とは……
形が変わるだけなのに。
生まれる、食べる、食べられる。
体の一部になる。
土になったり。森になったり。
変わりながらぐるぐるまわる
流れの中の一瞬に過ぎないのに。
人間だけが「死」までの区切られた時空に
閉じ込められている。
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言葉のない世界を受け止めること、
認識すること、言語によらずにしている。
言語で考えるってことは
決められた型に無理に押し込めて、
はみ出した部分は捨ててしまうということなんだ。
鯨の歌や鳥の囀り、アザラシの泳ぐ姿のほうが、
ずっと豊かに世界を表現している。
きっと昔は人類も同じだったはずだよ。
海そのものであり、宇宙そのものだった。
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これから君が見る事のイミは、君が考えろ。
君が一人で探さなくてはいけないんだ。
もっとも、ここに来るまでに
種明かしは全部済んでるから、
君が目を開いてさえいれば、
いつか、全部結びつくはずだ。
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海や風が語ることばはシンプルなのに、
みんな考えすぎてんのさ。
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大切な事は言葉なんかにしない方がいい。
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海で起きるほとんどのことは
誰にも気付かれない。
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なにしろお腹の中では羊水の中で息をしていて
出てきたとたん肺呼吸になるんだから……
海の生物が陸の生物に生まれ変わる
みたいなものよ。
死ぬ事は……別の世界で生まれること?
同じものの表と、裏みたいなもの?
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1番大切な約束は言葉で交わさない。
だから誰かに説明することも出来ないし、
時に曖昧にしてしまいそうになる。
でもいつでも体の1番奥で
ちゃんと繋がっている。
わたしはそれを見続ける。
その声を聞き続けるの。
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